2026年8月21日

「歯磨きをすると歯ぐきから血が出る」
「痛くないから、そのままにしている」
このような経験はありませんか?
歯磨きのときに一度だけ血が出た場合には、強く磨きすぎたことで歯ぐきを傷つけていることもあります。
しかし、歯磨きのたびに血が出る、同じ場所から繰り返し出血する場合には、歯肉炎や歯周病によって歯ぐきに炎症が起きている可能性があります。
歯周病は、初期には痛みなどの自覚症状が少ないまま進行することがあります。
今回は、兵庫県芦屋市の「まつお歯科」院長・日本歯周病学会認定医の松尾 顕が、歯磨きで血が出る原因や歯周病との関係、歯科医院を受診する目安について解説します。
歯磨きで血が出るのはなぜ?
歯磨きで歯ぐきから血が出る原因はいくつかあります。
代表的な原因のひとつが、歯肉炎や歯周病による歯ぐきの炎症です。
歯と歯ぐきの境目にプラーク(歯垢)がたまると、細菌の影響によって歯ぐきに炎症が起こります。
炎症を起こした歯ぐきは健康な状態よりも出血しやすくなるため、歯ブラシやデンタルフロスなどの刺激でも血が出ることがあります。
一方、硬すぎる歯ブラシを使っている場合や、必要以上に強い力で磨いている場合など、歯ブラシによって歯ぐきを傷つけて出血することもあります。
そのため、「歯ぐきから血が出る=必ず歯周病」というわけではありません。
ただし、出血を繰り返している場合には、一度歯科医院で原因を確認することをおすすめします。
歯周病になると、なぜ出血しやすくなる?
健康な歯ぐきは、通常の歯磨き程度の刺激では簡単には出血しません。
ところが、プラーク中の細菌によって歯ぐきに炎症が起こると、歯ぐきの組織が刺激に弱くなり、歯磨きやフロスによって出血しやすくなります。
そのため、歯磨きの際の出血は「歯ぐきに炎症が起きている」ことを知らせるサインのひとつと考えられます。
特に、
– 歯磨きのたびに血が出る
– 同じところから繰り返し出血する
– 歯ぐきが赤い
– 歯ぐきが腫れている
といった状態が続いている場合には、歯周病の検査を受けてみることをおすすめします。
血が出るところは磨かないほうがいい?
患者さんからよく聞かれるのが、
「血が出るところは磨かないほうがいいですか?」
という質問です。
歯周病による炎症が原因の場合、出血するからといってその部分を避けてしまうと、プラークがさらに蓄積し、炎症が改善しにくくなることがあります。
大切なのは、出血する場所を避けることではなく、歯と歯ぐきの境目に付着したプラークを適切な方法で取り除くことです。
ただし、強くゴシゴシ磨く必要はありません。
強すぎるブラッシングは歯ぐきを傷つけたり、歯ぐきが下がる原因のひとつになったりすることがあります。
歯ブラシの種類や当て方、力加減など、ご自身のお口に合った磨き方を知ることが大切です。
また、プラークが石灰化して「歯石」になると、通常の歯磨きだけでは取り除くことができません。
歯石が付着している場合には、歯科医院で専門的に除去する必要があります。
痛くないから大丈夫?歯周病は気づかないうちに進行することがあります
歯周病で特に注意したいのが、初期には強い痛みなどの自覚症状が現れにくいことです。
「血は出るけど痛くないから大丈夫」
と思って、そのままにされている方も少なくありません。
しかし歯周病が進行すると、炎症が歯ぐきだけではなく、歯を支えている骨(歯槽骨)にも影響するようになります。
さらに進行すると歯を支える骨が失われ、歯がグラグラするようになり、最終的には歯を残すことが難しくなる場合があります。
そのため歯周病では、痛くなってから治療するのではなく、できるだけ早い段階で発見して進行を抑えることが重要です。
こんな症状はありませんか?
次のような症状がある方は、一度歯ぐきの状態を確認してみることをおすすめします。
– 歯磨きをすると血が出る
– フロスや歯間ブラシを使うと血が出る
– 歯ぐきが赤い、腫れている
– 朝起きたときに口の中がネバネバする
– 口臭が気になる
– 歯ぐきが以前より下がってきた
– 歯が長くなったように感じる
– 歯と歯の間に食べ物が挟まりやすくなった
– 歯がグラグラする
– 最近、歯周病の検査を受けていない
これらの症状があるからといって、必ず歯周病というわけではありません。
ただ、早い段階で状態を確認することで、必要な治療や予防につなげることができます。
歯科医院では歯周病をどのように検査する?
歯周病の進行度は、歯ぐきの見た目だけでは十分に判断できません。
歯科医院では主に、
– 歯周ポケットの深さ
– 検査時の出血の有無
– 歯の動揺
– プラークや歯石の付着状態
– 歯を支えている骨の状態
などを確認します。
必要に応じてレントゲン撮影を行い、歯を支える骨がどの程度残っているかについても確認します。
これらの検査結果から現在の歯周病の状態を把握し、一人ひとりに必要な治療を考えていきます。
歯周病治療は「歯石を取って終わり」ではありません
歯周病治療では、歯石の除去だけではなく、原因となるプラークを毎日のセルフケアで適切に取り除ける状態をつくることが非常に重要です。
治療後に歯ぐきの状態が改善しても、再びプラークや歯石が蓄積すれば、歯周病が再発・進行する可能性があります。
そのため、
歯科医院での治療 + ご自宅でのセルフケア + 定期的なメインテナンス
を継続していくことが、ご自身の歯を長く守ることにつながります。
まつお歯科では、単に悪くなった部分を治療するだけではなく、治療後もできるだけご自身の歯を長く残すことを大切にしています。
よくある質問
Q. 歯磨きで血が出たら歯周病ですか?
必ずしも歯周病とは限りません。
強すぎるブラッシングなどによって歯ぐきを傷つけ、出血している場合もあります。
ただし、歯磨きのたびに血が出る場合や、同じ場所から繰り返し出血する場合には、歯肉炎や歯周病による炎症が起きている可能性があります。
Q. 歯ぐきから血が出ても歯磨きを続けて大丈夫ですか?
歯周病による炎症が原因の場合、プラークを適切に除去することが重要です。
ただし、強く磨けばよいわけではありません。
出血が続く場合には歯科医院で原因を確認し、ご自身に合ったブラッシング方法について指導を受けることをおすすめします。
Q. 歯ぐきから血が出るけど痛くありません。歯医者に行くべきですか?
歯周病は初期には痛みが少ないまま進行することがあります。
出血が繰り返されている、歯ぐきが腫れているなどの症状が続いている場合には、痛みがなくても一度検査を受けてみることをおすすめします。
Q. 歯周病になっても歯を残すことはできますか?
歯を残せるかどうかは、歯周病の進行度、歯を支えている骨の状態、歯の状態などによって異なります。
すべての歯を必ず残せるわけではありませんが、早期に発見し、適切な治療と継続的なメインテナンスを行うことが、ご自身の歯を長く残すためには重要です。
芦屋市で歯ぐきからの出血・歯周病が気になる方へ
歯磨きのときに血が出ることは、決して珍しい症状ではありません。
しかし、それが繰り返されている場合には、歯ぐきからの小さなSOSかもしれません。
兵庫県芦屋市のまつお歯科では、歯周病の検査から治療、治療後のメインテナンスまで、お口の状態に合わせて行っています。
「歯磨きすると血が出るだけで歯医者に行っていいのかな?」
という段階でも構いません。
歯ぐきからの出血や腫れ、口臭など、気になる症状がありましたらお気軽にご相談ください。
—
この記事の執筆・監修
まつお歯科 院長 松尾 顕
資格
日本歯周病学会 認定医
日本歯科保存学会 認定医
歯周病治療や歯の保存を中心に、できるだけ患者さんご自身の歯を長く残すことを大切に診療しています。